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"More Discreet than Most of Their Contemporaries"

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The new work is like a bright-blue-green color

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title The new work is like a bright-blue-green color
author Takuro Ueno
publication Crossbeat
date 2005/12
issue 266
pages 120-123
The new work is like a bright-blue-green color was an interview (in Japanese) by Takuro Ueno originally published December 2005 in Crossbeat magazine Vol. 266 pp.120-123.


Original Text

僕らにとっては質感がメロディと同じくらいに大切だ 一つ常に拘ってるのは目がくらむような感じ。これを出していきたいと思ってる めくるめくようなサウンドの質感というか、めまぐるしく変化していくような感じだね ただ、曲の曖味な記憶だけが残るんだ


自分で初めて買ったレコードはヒューマ ン・リーグの「トラヴェローグ」だという マーカス・イオインと、「地味なニュー・ ウェイヴがやりたかった」というマイク・ サンディソンが80年代中期から音楽活動を 開始。それが、ボーズ・オブ・カナダの歴 史の始まりでもある。スコットランドはエ ジンバラに拠点を置き、さまざまな変遷を 経て辿り着いた詩情溢れるエレクトロニッ ク・ミュージック。心地よいダウン・テン ポなビートに深く霧がかかったような幻想 的なサウンドスケーブで、繊細さと大胆さ の間を巧みに行き来する姿は、ここ数年の エレクトロニカ〜ポストロックの文脈で語 られてもおかしくないはず。 多彩なツールを操りながら、エモーショ ナルかつサイケデリックな音像を描き出す マーカス&マイク。彼らの約3年ぶりとな る新作「ザ・キャンプファイヤー・ヘッド フェイズ」が届いた(通算3作目)。これ までのアルバムよりも柔らかなギターの音 色が活かされていて、非常にオーガニック な味わいなのが印象的。今まで同様、明確 なコンセプトは提示せず、ゆっくりと浮か んでは消えるメロディがさまざまな模様と なって一つのサウンドに溶け込んでいく。 今回はメール・インタビューにて、その 温かくもあり衰しくもある本作の核に迫っ てみることにした。 -今まで以上に丸みがあって、柔らかな 光を帯びた作品ですね。こういう方向性に 辿り着いたのは、あなたたちを取り巻く環 境の変化によるものなんですか?それと も、内面的な変化によるものなんですか? マーカス「前作の『ジオガディ』を完成さ せた時、かなり曲が余ってることに気付い たんだ。それらの曲を早急に完成させて、 更に数曲書き足して、新しいアルバムをで きるだけ早く出すというのが当初の計画だ った。ところが、前からずっとスタジオを 別のところに移したいと思っていて、その 候補地を探してるうちに何ヵ月も無駄にし ちゃってね。で、やっと新しいスタジオに


落ち着いた頃には、だいぶ時が経っていて、 『ジオガディ』で余った曲に対する思いも 変わってしまっていた。自分たちの音楽的 な趣味は変わっていたし、結局、全てを自 紙に戻して一から作り直すことにしたよ。 というわけで、新作はちょうど、前作に対 するリアクションのようになった。つまり 「ジオガディ」が暗くて複雑だから、それ を掃すべく、新作は純粋にメロディやサ ウンドだけを追究したシンプルなものでい いんじゃないかと思ったんだ」 —1 #E "Into The Rainbow Vein" € いうタイトルにもリンクしますが、水面に 映った虹のように、サウンド全体が透明な 色彩を帯びているように感じられます。 マーカス「テーマを語るのにあまり神秘的 な表現を使うつもりはないんだけど、僕ら がを用いる場合はさまざまな意味を含ん でる。たとえば、映像で使われる“クロマ キー”(特定の色を背景に画像を撮影して おき、その他に別な画像を重ねることで合 成を行なうもの)だったりするし、あるい は共感覚の結果として見える色だったりす る。つまり、ある音を悪くと特定な色を連 想するという感覚だ。そもそも僕は、決ま った色が決まったサウンドや環境にマッチ すると思ってる。今回のアルバムに限って いえば、たぶん自分たちはニュートラルな 空間をめていたんだと思う。暗くもな く、ハッピーでもなく、何か褪せた青緑 色のようなもの。太陽の下に放置されてい た古い空き缶のような感じかな」 また、本作には心地の好い“ゆらぎ” があります。これがあるからこそ、それぞ れの曲が豊かな表情を湛えていると思うん ですけど、この心地よさを会得するには何 が不可欠だと考えますか? マイク「今回は、今までと比べて曲にダイ ナミズムを出そうと意識したね。それか ら、サウンドの質感のせいでそういう風に 感じてもらえたのかもしれない。そもそも メロディというものは、楽器やスタイルを 通じて新しい解釈をどうとでも施せるけ ど、質感というものは、わりと動かしがた


いものだと思う。僕らにとっては質感がメ ロディと同じくらいに大切だ。じゃなけれ ば、着メロ専門の作曲家になってるさ。 で、一つ常に拘ってるのは日がくらむよう な感じ。これを出していきたいと思ってる。 めくるめくようなサウンドの質感というか、 めまぐるしく変化していくような感じだね。 音楽を夢見るのと似てるかな。ハッキリと しないし、説明もできない。ただ、曲の腹 味な記憶だけが残る。そういう感じを実際 のレコーディングで出せるよう頑張るのが 僕らには面白いんだ」 一本作にはさまざまな質感の音が混在し てますが、全体のサウンドを整えていく段 階で、あなたたちが最も注意していること は何でしょう? マーカス「マイクはメロディに注目してる ようだけど、二人とも音楽のサウンドをど れだけ突き詰めていけるかということに取 り憑かれてるね。やっぱり音楽というもの は、単純に歌を演奏するだけのことじゃな いからさ。その曲のチューニングが微かに ズレていたり、音がこもっていたり、遠の いていたり、崩れていたりすると、全く遠 うレベルの情感がき起こる。自分たちに してみれば、まるで二次元の曲が三次に なるような感じだ。で、僕なんかは、音の 凸凹した表面が感じられるようなものが好 きだな。ちょうど油絵の表面をひび割れた レリーフが覆っているような、あの感じ。 ああいうのが音楽にあって欲しいんだよ」 -なるほど。僕はこのアルバムを聴いて いると何故か海を思い浮かべます。実際、 曲の中に波の音も収録されていますし。 マイク「最近、前よりもう少し海の近くに 移ったから、そういう音はとても簡単に捨 えるんだ。二人とも海の近くで育ったし、 今回のアルバムを通じて、海岸のようなだ だっ広い空間の感覚が再び訪れたと言って もいいんじゃないかな」 -アナログ・シンセ、テープ・エコー、 ギターなど、本作ではいろいろな楽器や機 材が使われていると思いますが、制作して いる時に頻繁に使ったツールは?


若い頃はカネがなくて思うように楽器や録音機材を買えないから ビール缶、プラスチック製の箱、学生鞄なんかを掻き集めてはスティックで叩いて そのリズムを安っぽいテープ・マシンに吹き込んだりしたよ 録音を重ねるたびにテープの音がどんどん歪んだけど、最高のサウンドだったんだ


マイク「今回はテープ・エコーをかなり使 ってるんだ。パッと聴いた限りでは気づか ないような箇所でも登場する。今は誰もが 簡単にエレクトロニック・ミュージックを 作れるようになったよね。ラップトップと 50ドルのソフトウェアさえあれば、何かし らの音楽を作れる。エレクトロニック・ミ ュージックって実はかなり昔からあるんだ。 今のエレクトロニック・ミュージシャンや ファンの多くは最近のものだと思いこんで るようだけどね。でも、何十年も前から存 在してるよ。 たとえば、スティーヴィー・ワンダーが 70年代にシンセサイザーで作ったポリフォ ニックでクロマチックな音楽。あれが大好 きでね。彼はコンピューターのシーケンス を使わずに、モノシンセでマルチ・トラッ キングしてた。そうやってオーガニックな サウンドを見事に編み出していたのさ。彼 のアルバム『シークレット・ライフ』を聴 いてみると、シンセサイザーで自由に奏で た素晴らしい曲がたっぷりと入ってる。そ こには量子化されていない、近年のエレク トロニック・ダンス・ミュージックとは遠 くかけ離れたものがある。僕らも自分たち の音楽をそれと同じように捉えてるね。確 かに作ってるのはエレクトロニック・ミュ ージックだけど、今の人たちの殆どが使っ てるような仕様や技術は用いてないよ」 あなたたちは10代の頃からさまざまな 楽器を独学で学び、カセット・テープにい ろんな音を録音していたとか。当時はどん な音を録っていたんです? マーカス「若い頃はカネがなくて思うよう に楽器や録音機材を買えないから、身の回 りのもので工夫するしかないよね。だから、 マルチ・トラック・テープ・レコーディン ジもどきを、複数のステレオ・テープ・レ コーダーと安物のマイクを使ってやろうと してたんだ。ビール缶、プラスチック製の 箱、学生なんかを掻き集めてはドラム・ スティックで叩いて、そのリズムを安っぽ いテープ・マシンに吹き込んだりしたよ。 それをまた普通にスピーカーで生して


別の機械に録音しつつ、ピアノやら手拍子 やらアコースティック・ギターやらの音を 片っ端からオーヴァー・ダビングしていっ た。不協和音の実験みたいなものさ。何し ろ録音を重ねるたびにテーブの音がどんど ん歪んでボヤケてくるんだけど、最高のサ ウンドだったんだ。クリエイティヴな体験 だったな。とにかく、足せるものは何でも 足してた。テレビから面白いものが流れて くればテレビの音量を上げて、それをその まま録音してたね。そうやって録った曲は どれも強烈で、グチャグチャなニュー・ウ エイヴ・ジャムって感じだったよ」 へええ。ところで、あなたたちはエジ ンバラの山奥で暮らしてるんですよね。そ ういう環境で日々アートに没頭できる一。 そんな生活のいちばんのメリットは何です か?また、デメリットを感じる部分はあ りますか? マーカス「いちばんのメリットは、自分の アートの居場所となる世俗的な現代文化か ら隔離された"バブル”を形成できること だ。日々、服飾店やカフェなんかで大音量 の音楽や派手な光景といった都会的な影響 下にさらされていたら、創造性が左右され て当たり前だと思う。それが悪いとは言わ ないよ。その人の音楽やアートのあり方に よるから。ただ僕らの場合、毎日そういう 環境に囲まれた状態で、ボーズ・オブ・カ ナダの世界に視覚的かつ聴覚的に集中する のは難しいね。だけどデメリットもある。 たまには外から適当な刺数を受けないと、 自分のアートに新たな面やアイディアが生 まれにくいんだ。て、そういう刺数は活気 のある環境にいた方が受けやすい。だから 時々、わざわざ部会の文化に身を投じる必 要があると思うんだ。あるいは、僕らがよ くやるように旅に出るのもいいね」 外の世界で起こっているムーヴメント とは距離を置いているあなたたちですが、 クラウデッド、ブーム・ビップ、ベックな ど、間隔は長いけど他人のリミックスは継 続的に行なってきてますね。 マイク「リミックスの仕事については、


ックリするくらい物りを持ってるよ。実際、 5回に1回くらしか引き受けてないしね。 ビッグなアーティストの仕事も断わった。 忙しかったというのもあるけど、大抵は自 分たちの世界とそのアーティストの世界と の間に接点を感じないからなんだ。 で、その中でもベックは数少ない離れが たいミュージシャンだ。一度、取っ掛かり を掴んで理解しちゃうと、彼が出すもの全 てが欲しくなる。最近のありきたりな音楽 が溢れる海の中で、ベックは未だに素晴ら しい音楽を作るかがり火となって、新作を 出すたびにみんなをアッと言わせてくれて るんだ。彼は人気があるし、MTVでもク リップがしょっちゅう流れるから、中には "裏切り者”呼ばわりする人もいるけど、 勘違いも甚だしいね。そもそもベック自身 が自分をポップ・アーティストとして捉え てるんだ。無理をしてクールでアンダーグ ラウンドなところに留まろうなんて思って ない。それって、自行がある証拠だよ。弱 さとは逆だ。世の中にいるクリエイティヴ なバンドがもっとそういうアプローチを取 るようになれば、ポップ・チャートも今よ り面白くなるんんじゃないかな」 では、最近お気に入りの音楽は? マーカス「僕らは常に新しい音楽を見出す ようにしてるけど、最近のものも30年くら い前のような凄く古いものもまんべんなく 聴いてる。僕は、スフィアン・スティーヴ ンス、ビーチ・ボーイズ、ジョイ・ジッパ -、ダイクハウス、ジョン・フルシアンテ なんかをよく聴くね」 ーボーズ・オブ・カナダの作品は、旅を した時に味わうような特別な体験を提供し てくれると思うんですが、これからの人生、 あなたたちは音楽を通じてどんな旅をして いきたいと考えています? マイク「僕は昔から音楽を超えて何かをし たいと思ってた。できれば世界中を旅し て、ワイルドな冒険をしたいね。特に、北 極に行くチャンスがあるといいんだけど。 レコード会社に掛け合って、あそこでビデ オを撮らせてもらおうかな(^_^)」

Translated text

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