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− | * [[Marcus]]: " I can't release something we're not satisfied with. For that reason, we'll take as much time as needed to create our music and compile an album" | + | * [[Marcus]]: "I can't release something we're not satisfied with. For that reason, we'll take as much time as needed to create our music and compile an album." |
− | * [[Marcus]]: "We've actually made music that's quite the opposite of what we've done with [[Boards of Canada]], or at least about 90 degrees different. But it hasn't been released yet. '''In the future, it's inevitable that we will release independent works separate from Boards of Canada'''. Being open about future activities is exciting as musicians." | + | * [[Marcus]]: "We've actually made music that's quite the opposite of what we've done with [[Boards of Canada]], or at least about 90 degrees different. But it hasn't been released yet. '''In the future, it's inevitable that we will release independent works separate from [[Boards of Canada]]'''. Being open about future activities is exciting as musicians." |
* [[Michael]]: "We sometimes deliberately include very basic parts because we like them. But adding a completely contrasting element to that basic part brings it to life, creating a beautiful moment. It can transform the track's purpose or give a purposeless track a purpose." | * [[Michael]]: "We sometimes deliberately include very basic parts because we like them. But adding a completely contrasting element to that basic part brings it to life, creating a beautiful moment. It can transform the track's purpose or give a purposeless track a purpose." | ||
* [[Marcus]]: "Music must have melody and the power to move people's emotions." | * [[Marcus]]: "Music must have melody and the power to move people's emotions." |
title | B to the O to the C |
---|---|
author | Nobuki Nishiyama? |
publication | Fader |
date | 2002/04 |
issue | Vol.07 |
pages | A002-A003 |
This is an original text copied verbatim from the original source. Do not edit this text to correct errors or misspellings. Aside from added wikilinks, this text is exactly as it originally appeared.
Note: Transcription by Apple's Live Text on a MacBook Pro
BOARDS OF CANADA
B to the O to the C
3年半は長い。多くの出来事が起こっては過ぎ去り、実
験はもはや実験足り得ず、前衛は瞬時に保守へと廻る。
98年の前作「ミュージック・ハズ・ザ・ライト・トゥ・チルド
レン」以降、マーカス・イオンとマイケル・サンディソンは、
あえて作品を時代の荒波の中へと放置する道を選んだ。
まるで自らの音楽が時代的な新奇さを超越した普遍性を
持つことを、ただそのことによってのみ証明せんとするか
のように。そしてその証明は、見事に果たされたのだ。「ジ
オガディ」。このニュー・アルバムは、徹底してデビュー時
から変わることのないボーズ・オブ・カナダのサウンドその
ものだ。変化よりも成熟を、隔絶された独自性よりも普遍
性を極めた、美しい作品が、ここにある。
「僕は自分たちの音楽と、ある特定の時代性との関わり
合いを意識しているわけじゃない。できたものをただあり
のまま、聴いてもらえればいいと思ってる。だけれど自分た
ちの納得いかないものをリリースするわけにはいかない。
そのためにはいつまでだって曲制作に時間をかけるし、同
じくアルバムのコンパイルにも同様の時間をかける。『ジ
オガディ」はようやく完成した。3年半の間に移り変わった
時代性とは関係なく、それはただ完成したんだ」(マーカス)
しかし、然のことながら『ジオガディ」は単なる過去の
作品の焼き直しなどではない。幻想的で浮遊感に溢れた、
時に隔世的ですらある特徴的なメロディー要素を十二分
に受け継ぎながらも、より抑制された感覚に満ち、単なる
ノスタルジアには留まらない、ある種の力強さを生み出し
ている。また、彼らの持ち味でもあったオールドスクール・
ヒップホップ然としたビート感覚からの影響は多少影を
潜めており、ヒップホップ/エレクトロからの流れから脱
却して、ビートとメロディーは、より有機的で複合的な組
み合わせの域にまで到達、「1969」や「ドーン・コーラス」な
どでの、極端にシンセのピッチを揺らした作りは、シンプル
なアイディアではあるが実に効果的で、ビートやウワモノ
といった概念を、静かに崩していくかのような新鮮な感覚
に満ちてもいる。 「そういった要素はまだ『ジオガディ」にもあると思うよ。で
も、以前ほどそれらの要素を分かりやすく前面に押し出し
たりするようにはならなくなったね。今回のアルバムに関し
ては、そういった要素をもっと音楽の奥深くに覆い隠した
かったんだ。僕はいつも、僕らの音楽のパーツ、もしくは
影響を、分離できないようなポイントにまで達することが
できるように心掛けてる。そうすることで、オーガニックで、
すべての要素が自然にそこにあるような感じを生み出す
ようにしているんだよ。「ジオガディ」は、各部を構成する要
素をバラして処理することができないようなサウンドをクリ
エイトする、というアイディアで成り立っていて、「ジュリー・
アンド・キャンディ」や「ドーン・コーラス」といった曲では、
特にそれが顕著だね|(マイケル)
「僕らはいつも、自然にインスパイアされてる」(マーカス
というボーズ・オブ・カナダは、そのデビュー以来、一貫し
て自然や大地をモチーフにしてきた。「ジオガディ」も例外
ではない。「サンシャイン・レコーダー」「オーヴァー・ザ・
ホライゾン・レーダー」「ジャイロスコープ」など、自然や大
地に関する曲名が多く見受けられる。「今や誰もがテクノ
ロジカルでアーバンでアンチ自然主義的なものに走って
いるし、僕らが自然から受けた影響を音楽に反映させてい
るのは、それに対する反動が顕れているのかもしれない」
(マーカス)。しかし、反対に、「ミュージック・イズ・マス
(MusicIsMath)」という、理論的な側面からの音楽に
対するアプローチも伺わせるタイトルの曲もまた、ここで
は同列だ。いや、反対というのは語弊があるかもしれない。
音楽を大いなる自然からのギフトであると捉えることと、数
学的にそれぞれの要素を還元して捉えること。両者は共に
欠かすべからず根元的な音楽に対するアプローチであり、
そもそも、そのどちらかを切り離して考えること自体、誤り
なのだ。“各部を構成する要素をバラして処理することが
できないようなサウンドをクリエイトする”。先のマイケル
の言葉は、徹底してそのサウンドのバックグラウンドにまで
貫かれている。
「特にエレクトロニック・ミュージックに関しては、それは興
味深い質問だと思うよ。音楽における数学的な論理のこ
とを、コンポーザーやリスナーによって生み出された、もし
くは課せられたものであると言じている人っているよね。だ
けど重要なのは、自然の中にはたくさんのリズミックでハー
モニックなパターンが存在していて、音楽とはそれら自然
の中のパターンの集まりに過ぎない、ということに気付く
ことなんじゃないかな。数学とは自然の中に、すでに存在
しているものなんだ。人が数学を発明したんじゃない、人
が自然の中に数学を“発見”したんだよ」(マイケル)
こうしたテクノロジーに対する姿勢は、数多のエレクトロ
ニカ・アーティストと彼らとの差違を決定づけるものだと言
えるだろう。ラップトップを駆使した他のエレクトロニカが
際限なく複雑性を増していくのに対し、彼らはあくまでもシ
ンプルかつ的確ないくつかのループを基調にした、オーソ
ドックスな楽曲構成を貫いている。その姿は幾分保守的
に映ることもあるかもしれないが、しかし、シンプルである
からこそ彼らの普遍性は、より一層際立ったものとしての
説得力を増しているものだ。奇をてらうような要素は一切
ない、ストレートな直球勝負。アブストラクトで、曖味なま
まの、ある意味では勝負を避けているようにも思えるサウ
ンドに逃げ込むようなことは、決してない。ベーシックで、
オーソドックスであることに対して、二人は極めて意識的
である。「ジオガディ」の、奇跡的なまでのサイケデリアは、
そしてだからこそ孤高の輝きを放っている。
「僕らは時々、あえてものすごくベーシックなパートを取り
入れることがある。単にそれが好きだから、っていうのもあ
るんだけど、でも、そのベーシックなパートにまったく対照
的な要素を加えた瞬間、そこには生命が宿るんだ。それは
たとえようもないほど美しい瞬間だ。それによってトラック
の目的そのものをまったく別のものにすることもできれば、
目的のないトラックに、目的を与えることだってできる」(マ
イケル)。「僕らは例えばアコースティック・ギターである
とか、たった一つの楽器だけでも楽曲が成り立つような
アプローチが好きなんだ。もしくは歌うだけでもいいけど、
そういうシンプルに演奏できるようなものを作ることがで
きたのならば、そこには基本的な音楽要素が十分にあるっ
ていうことだからね。僕らが作りたいのは音楽だ。僕らに
とって音楽とは、単なるプロダクションやサウンド・エフェ
クト以上のものでなくてはならない。メロディーがなくては
いけないし、人々の感情を揺さぶるような力を持たなくて
はならないんだよ」(マーカス)。
多くの人々が見過ごしがちではあるが、マイケルとマー
カスのメロディーに対する判断基準は、数多くのセッショ
ンをこなしてきたプレイヤーとしての経験に裏打ちされたも
のだ。テープ・マシンに短波ラジオの多重録音でコラー
ジュ作品を制作していたその初期の活動から、並行して
二人は楽器を熟達することにも努めできた(二人は共に熟
練したピアニストであり、マーカスはギターとベース、そ
してマイケルはギター、ベース、ドラムの演奏もこなす)。
ボーズ・オブ・カナダのシンプルなメロディーには、常に多
くの誤解がつきまとう。いや、彼らはもしかすると、あえて
誤解されることを楽しんでいるのかもしれないが。
「今でも楽器は弾いてるよ。スタジオは楽器だらけだしね。
実は僕らは、結構なヴィンテージ楽器のコレクターでも
あって・・・・・・。みんなが思っている以上に、僕らの音楽には
生楽器の音がたくさん入ってるんだ。ボーズ・オブ・カナダ
といえば、いかにもビュア・エレクトロニクス、というイメー
ジが強いと思うんだけど、実際はそうじゃない。わざとそう
聴こえるように作ってるんだ。僕らのプロジェクト、ボーズ・
オブ・カナダには、たった一つだけコンセプトがある。そ
れは、“そういう風にこえても、実は全然達う”というこ
と。ピュア・エレクトロニック・ミュージックのように聴こえ
ても、実はそうじゃない。演奏家の音楽じゃないように聴
こえても、実はそうじゃない。オールド・タイミーな映画や
テレビ番組からサンプリングしてるように聴こえても、実
はそうじゃない。あえて直接的なイメージを持たせるよう
にはしてるんだけど、裏では全然違うことをやっている。
ちょっとひねくれてるかな?僕らにとって、エレクトロニッ
ク・ミュージックは音楽を作るプロセスの拡張に過ぎない
んだ」(マーカス)
『ジオガディ」は、エレクトロニカの雛形を完成させ、多
くのフォロワーを生み出した彼らから届けられた、そのスタ
イルの集大成にして完成形ともいうべき強固なサウンドを
確立した傑作だ。しかし、然本作はその終着点ではない。
その先には、さらなる展開が待ち構えている。それは一体ど
のようなものであるのか?楽しみに待っていたいと思う。
「実はもう、ボーズ・オブ・カナダとして僕らがやってきたこ
ととは正反対、いや、90度ぐらいは違う音楽も作ったんだ。
でも、まだそれはリリースされてはいない。たぶん、将来的
に僕らがそれぞれ、ボーズ・オブ・カナダとは別の独立し
た作品をリリースすることになるのは必然だろうね。今後
の活動についてオープンであることは、ミュージシャンとし
ではエキサイティングなことだよ」(マーカス)(N)
Note: Translated by ChatGPT-4o
BOARDS OF CANADA
B to the O to the C
Three and a half years is a long time. Many events have occurred and passed, and experiments no longer remain experiments, while the avant-garde quickly turns conservative. Since their previous work Music Has the Right to Children in 1998, Marcus Eoin and Michael Sandison have chosen to deliberately let their work drift in the rough seas of time. It was as if they intended to prove that their music transcends temporal novelty and possesses a timeless universality by doing so. And that proof has been magnificently realized Geogaddi. This new album is the essence of the Boards of Canada sound that has remained unchanged since their debut. Here lies a beautiful work that pursues maturity over change and universality over isolated uniqueness.
However, Geogaddi is by no means a mere rehash of past works. While fully inheriting the characteristic melodies that are fantastical and filled with a sense of floating, and at times even otherworldly, it is imbued with a more restrained sensibility, creating a kind of strength that goes beyond mere nostalgia. Additionally, the old-school hip-hop-like beat sense that was their trademark has somewhat faded, as they have moved away from the hip-hop/electro flow. The beats and melodies have reached a more organic and complex combination. The extremely pitch-wavering synthesizer work on tracks like "1969" and "Dawn Chorus" is a simple idea but highly effective, blending beats and upper elements perfectly.
A fresh feeling, as if quietly dismantling such concepts, also pervades.
Since their debut, Boards of Canada have consistently used nature and the earth as motifs. Geogaddi is no exception, with many track titles referencing nature and the earth, such as "Sunshine Recorder", "Over The Horizon Radar", and "Gyroscope".
On the other hand, a track titled "Music Is Math", suggesting a theoretical approach to music, is also present. However, viewing these as opposites might be misleading. Considering music as a gift from nature and understanding its elements mathematically are both fundamental approaches to music that shouldn't be separated.
Michael's earlier words about creating a sound that can't be broken down into elements are deeply rooted in their music's background.
This stance towards technology sets them apart from many other electronica artists. While others increase complexity with laptops, Boards of Canada stick to a simple yet precise loop-based traditional song structure. This approach might appear conservative, but its simplicity enhances its universality and persuasive power. They avoid abstract or vague sounds, opting for a straightforward approach. Michael and Marcus are very deliberate about being basic and orthodox, making Geogaddi stand out with its miraculous psychedelia.
Their criteria for melody, often overlooked, are backed by extensive experience as players. From their early days of creating collage works with multi-track recordings of shortwave radios, they have honed their instrumental skills (both are skilled pianists, with Marcus playing guitar and bass, and Michael playing guitar, bass, and drums).
There are many misunderstandings about Boards of Canada's simple melodies. Perhaps they even enjoy being misunderstood.
Geogaddi is a masterpiece, solidifying their sound and serving as the culmination of their style, which has inspired many followers. However, this album is not the endpoint. There's more development ahead.